長期優良住宅というものは、簡単に言えば安心して長く暮らせる、資産価値の高い住宅。
長期優良住宅に認定された住宅には、一般的な住宅と比べて、防災に優れた耐震性があり、環境に配慮した省エネ対策、住宅長寿命化のための劣化対策などがとられています。一言でいうなら、「安心して長く暮らすことができ、しかも長く資産価値を維持できる住宅」であるといえます。
近年では、国が環境問題解決への取り組みを進めていることもあり、今後ますます環境に配慮された長期優良住宅の価値が高くなっていくといわれています。長期優良住宅ではない住宅を購入するより金銭的な負担は少々大きくなりますが、長期優良住宅を取得することによって住宅ローンの金利が低くなる、税金が安くなるといった優遇制度が設けられています。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅の認定を受けた住宅を選ぶことで、さまざまな優遇措置が受けられます。一般住宅と比べたメリットとして挙げられるのは、主に以下の5つです。
登録免許税の税率が軽減される
長期優良住宅を取得することで、登録免許税の税率も軽減されます。「登録免許税」とは、建物を新築した際、所有者が自分の名義とするために登記する所有権保存登記や、相続や売買によって持ち主が変わった際に行う所有権移転登記など、各種登記をするときにかかる税金のこと。住宅を取得した際、登記するときにこの税金を払うことになります。
登録種別 | 原則 | 一般住宅 | 長期優良住宅 |
---|---|---|---|
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% | 0.1% |
所有権移転登記 | 2.0% | 03.% | 0.2% |
たとえば購入した新築住宅(一般住宅)の評価額が5,000万円のとき、所有権保存登記にかかる登録免許税額は7万5,000円ですが、長期優良住宅の場合は5万円になり、2万5,000円分の税金が節税できるのです。
不動産取得税の控除額が増える
不動産取得税の控除額についても増額されます。
「不動産取得税」とは、土地や建物を取得した際にかかる税金のこと。
この控除額は一般住宅では評価額から最大1,200万円までなのに対して、長期優良住宅では最大1,300万円まで増額されます。
固定資産税の減税措置期間が延長される
長期優良住宅では取得後、毎年支払う固定資産税の軽減措置期間が延長されます。固定資産税とは地方税の一種で、購入した土地や建物などの固定資産に対して市町村が課税する税金のことです。
固定資産税には、所定の要件を満たした新築住宅の建物の120m2までの部分について払う税金が2分の1に減額される軽減制度があります。
住宅ローンで低い適用金利が適用される
長期優良住宅を購入することのメリットとして、一般住宅よりも優遇された住宅ローンを利用することができる点も挙げられます。
たとえば、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資しているフラット35では、長期優良住宅であればフラット35Sというプランを選ぶことも可能です。
また、長期優良住宅は、地震保険の加入時には住宅の耐震性に応じた保険料の割引が適用され、減税や住宅ローンの金利以外の部分でも優遇されています。
一般住宅よりも長期優良住宅の方が少し物件価格は高くなりますが、その分いろいろな税金の軽減制度や住宅ローンの金利などの優遇があります。その理由は、資産価値の維持という面で優れている住宅と認められたものであるからといえるでしょう。
長期優良住宅の認定条件
劣化対策
建物の構造を支える、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床、屋根、梁などの骨組み部分が、少なくとも100年程度使用継続できる様に建築されることが基準となります。例えば木造の場合では、床下や小屋裏に点検口を設けることなどが要件になっています。
耐震性
極めて稀に発生する大地震が起きても、生命を守り、また改修を行えば利用できる程度の損傷ですむような強度にすることが基準となります。具体的には、耐震等級2や、品確法に定められる免震建築物であることなどが定められています。
維持管理・更新の容易性
建物を長く使用する上では、柱や梁といった構造躯体に比べて耐用年数が短い内装や設備について、清掃、点検、補修、更新を行う際に容易に行えることが大切になります。床、壁、天井などを壊さなくても、配管の点検交換などを行えるつくりになっていることなどの基準です。
省エネルギー性
建物の断熱性を高めて冷暖房費用を抑えるための基準で、外気に接している屋根、床や土間、壁や窓などの熱の伝わりやすさの数値に基準があります。一般に熱が伝わりやすいとされる、窓や玄関などの開口部の面積割合や、結露防止策についても定められています。
居住環境
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであることが基準です。
住戸面積
良好な居住水準を確保するために必要な規模として、戸建て住宅で75平米以上、共同住宅で55平米以上有することが定められています。
維持保全計画
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていることが必要になります。構造耐力上主要な部分や、雨水の侵入を防止する部分、給排水設備について、点検の時期と内容を定め、定期的な点検を実施することが基準となっています。